猫の1日の睡眠時間はどのくらい?睡眠の特徴や快適な環境づくりのポイント
睡眠
猫
健康管理
病気
PLUS CYCLE
目次
猫って、窓際などのお気に入りの場所でずっと寝ているイメージがありますよね。
飼い主さんとお話ししても、「うちの子はずっと寝てるから(笑)」とおっしゃる方が多くいます。
では、猫は一日にどれくらい眠るのでしょうか?
今回の記事では、猫の睡眠時間や睡眠サイクルと特徴、睡眠時間が変化した場合のリスク、および、猫にとっての快適な睡眠環境についてご紹介します。
また、PLUS CYCLEユーザーのデータを基に、休息・睡眠時間の実測値ついてもご紹介します。
猫の睡眠時間はどのくらい?
猫は1日に何時間くらい眠っているのでしょうか?
猫の睡眠時間は、ヒトより非常に長く1歳以上の成猫で平均して1日12~16時間程度だと言われています。
さらに1歳未満の子猫ではもっと長く1日に18~20時間程度眠り、10歳以上のシニアになると再び子猫と同じくらい長くなると言われています。
PLUS CYCLEユーザーの睡眠時間
ここで、PLUS CYCLEを利用している猫の休息・睡眠時間の実測値をご紹介します。
PLUS CYCLEでは、全く活動していない時間を休息睡眠時間として計測し、1日の休息睡眠時間を算出しています。
以下のグラフは、猫の1日の睡眠時間を年齢別で表したグラフです。
※昼間と夜間については、大学との共同研究により、飼い主さんの活動時間を基に昼間(6時~24時)、夜間(0時~6時)と定義しています。
(引用:PLUS CYCLEを活用した猫の論文)
一般的に言われている猫の睡眠時間とほぼ同等ですね。
そして、興味深いこととして、年齢が高くなるごとに休息・睡眠時間は徐々に増えてきています。
さらに、、
1日の睡眠時間を「昼間」と「夜間」に別けて測定したところ、
・ 夜間の睡眠時間については、年齢によってそれほど変化がない
・ 昼間の睡眠時間が年齢によって増加することにより、1日の睡眠時間が増えていく
ということが、PLUS CYCLEのデータから明らかになりました。
詳しくは、PLUS CYCLEを猫に活用した論文をご参照ください。
睡眠のサイクル
猫の睡眠サイクルについてご紹介します。
睡眠サイクルとは、ヒトの場合は「日中に長く覚醒(目を覚ました状態)が続いた後、夜に6~8時間の睡眠を一気にとる」といった、覚醒/睡眠のサイクルのことを言います。
猫の睡眠を24時間観察した研究では、「覚醒26分と睡眠79分からなる105分の短い覚醒/睡眠を細切れに繰り返していた」と報告されています。
また、猫にもヒトと同様にレム睡眠(浅い眠り)とノンレム睡眠(深い眠り)があります。
ヒトの場合「ノンレム睡眠が75%でレム睡眠が25%」ですが、猫は圧倒的にレム睡眠が多く「生後10日の子猫で100%、生後28日で50%、成猫で25%」と言われています。
つまり、猫は長時間寝ているようで、熟睡している時間は1日で3時間程度となりますね。
猫が長時間眠る理由
猫が長く眠る理由の一つとして、もともとはライオンやトラと同様に狩りをしていたため、獲物を捕らえる瞬間に備えてエネルギーを温存していた名残があるのではないかと考えられています。
野生のライオンのように完全な肉食の動物は、一度獲物を狩ればしばらく食事をとる必要がないので、余った時間を睡眠(エネルギー温存)に充てると考えられています。
実際、猫の食事量と睡眠時間の関係を調べた研究でも、十分な食事を摂った後の猫は深い(ノンレム)睡眠の割合が増えたことが報告されています。
上記のことからも、猫が長時間眠る理由には野生の頃の名残が大きく影響しているようですね。
睡眠時間が短いと病気の可能性も
猫の睡眠時間が短くなる原因には様々なものがあり、「まだまだ遊び足りない!」や「お腹が空いたな…」などの要因も考えられます。
ただし、「食欲がない」など、いつもと違う症状がある場合は注意が必要です。
かゆみ
アトピー性皮膚炎やノミ、耳ダニが寄生していると夜中もかゆくて掻いてしまい、あまり落ち着いて寝ることができず、睡眠時間が短くなります。
感染性胃腸炎
猫もヒトと同様に、ウイルスや細菌などの感染により急性胃腸炎を惹き起こすことがあります。
そうなると、お腹の痛みや吐き気によって睡眠が十分にとれなくなります。
猫風邪
ワクチン接種がまだ終わっていない子猫の場合、ヘルペスウイルスやカリシウイルスに感染しやくす猫風邪を惹き起こす可能性がります。
猫風邪にかかると、くしゃみ、鼻汁、発熱などの症状が起こり、息苦しさからしっかり眠れなくなる場合があります。
発情
避妊・去勢手術を行っていない成猫の場合、発情期になるとソワソワして寝られなくなる場合があります。
膀胱炎
膀胱炎になったり膀胱結石ができたりすると頻尿になり、何度もトイレに行くようになります。
また、寝ていても急に起き上がって排尿のポーズをとるなどの行動が見られ、睡眠をしっかりとれなくなってしまうことがあります。
認知症
猫もシニア期になると認知症になる場合があります。
夜間のいつも寝ている時間帯に急に大声で鳴いたり、寝ずに徘徊したり、といった行動の変化が見られます。
甲状腺機能亢進症
シニア期の猫によくみられる病気で、異常に食欲が増したり、動き回ったりします。
落ち着きもなくなり、夜もあまり寝られなくなってしまう場合があります。
腎不全を始めとする疾患
シニア期には腎不全や肝疾患、心疾患になる確率が上がります。
このような病気に罹ると、体のだるさや気持ち悪さなどから、落ち着いて寝られなくなる場合があります。
睡眠の特徴
猫の睡眠には、いくつかの特徴があります。
その特徴を紐解いてみると、野生の本能の名残が大きく影響していたり、猫の気持ちが何となく理解出来たり興味深いものばかりです。
ここでは、猫の睡眠に関する特徴をいくつかご紹介します。
雨の日や寒い日は特によく寝る
猫の先祖が狩りをしていた頃、寒い時期や悪天候の日には獲物となる小動物の活動が減り狩りの機会が少なくなるため、それほど動く必要がなくゆっくり休んでエネルギーを節約していたと考えられています。
これは現在の猫たちの行動にも影響を与えており、「冬になると、ひたすら寝てばかりいる」といった行動パターンにつながっているのです。
また、ムダに動いて脂肪を消費しないよう、寒い時は動きを制限するというのも理由の一つであると言われています。必要に迫られなければ動かないのが猫の習性ですので、冬になると活動量が減り、睡眠時間が長くなっています。
飼い主の生活リズムによって変化する
飼い主の生活リズムは、猫の生活リズムにも影響を与えています。
本来、猫は夜行性で昼は寝たり休息したりしているため、猫の生活リズムは人間と異なります。
しかし、飼い主と一緒に生活している猫は、お昼寝のときに起こされてしまったり、夜にずっと電気がついていたりするため、猫の生活リズムが変化してきます。
飼われている猫が、その環境に順応することも大切ですが、なかには睡眠不足で体調を崩してしまう猫もいるので、日中に猫が休んでいるときなどは、できるだけそっとしておいてあげましょう。
寝姿にリラックス度がでる
猫の寝姿から、リラックス度や気持ち・状態を把握することができます。
前足に顔をうずめる(ごめん寝)
頭を下げて、まるで土下座しているように見える寝姿の「ごめん寝」。
うとうとしてそのまま眠ってしまった、眩しかった、など様々な意見がありますが、床と前足に顔をキュッとうずめるのは、狭いところが安心するという猫の習性が関わっているのではないかと考えられています。
ただし、壁に頭をつけて寝ている(動かない)場合は「ヘッドプレッシング」という異常行動であり病気の可能性があるため、すぐにかかりつけ病院へ相談することをお勧めします。
香箱座りで寝ている
背中を丸め前足を胸の下に折り込んで座る香箱座り。
前足を折って座るとすぐに逃げられないので、香箱座りは猫が安心しリラックスしているときに見られる姿勢だと言われています。
香箱座りのまま眠ってしまうというのは、とても居心地のよい証拠ですね。
お腹を見せる(ヘソ天)
お腹を見せて寝ている「ヘソ天」は、かなりリラックスしているときです。
動物にとってお腹は急所にあたりますので、慣れない環境や緊張感のあるところでは絶対に見せません。
そのため、ヘソ天の時に不意に触るのはやめましょう。リラックスして寝ているのに、突然急所を触られたらびっくりしてしまいます。
それがトラウマになって、ヘソ天で寝てくれなくなるかも……。
お腹を撫でられることが好きな子もいますが、寝ているときに触るのは信頼関係ができてからにしましょう。
いつもと違う場所で寝る
猫は体調が悪いことを隠してしまう傾向があります。
そのため、いつもとは違う寝床で寝たり、飼い主から見えにくい狭い場所や高いところなどで寝ているときは気を付けてみてあげましょう。
猫にとって快適な睡眠環境をつくるポイント3つ
ここまで、猫の睡眠時間や睡眠サイクル、特徴についてご紹介してきました。
では、猫が健康的に寝られる空間とはどの様なところなのでしょうか?
ここでは、猫にとっての快適な睡眠環境についてご紹介していきます。
いつも猫が寝ている場所にベッドを置く
猫には、お気に入りの寝場所があります。
「ここに寝て欲しいな」と新しいベッドなどを置いても、なかなかそこで寝てくれませんよね。そんなときは、いつも猫が良く寝ている場所を観察して、お気に入りの寝場所を探してみてください。
一般的に、家族の視線に常にさらされるような場所や、騒がしい場所はあまり好みません。
愛猫がいつも安心している場所にベッドを置き、快適な寝床を用意してあげましょう。
部屋の温度調節をする
猫の睡眠と室温の関係を調査した研究では、以下の報告がされています。
室温を5~35℃まで5℃刻みに調整し、それぞれの段階で睡眠の質を評価した結果、
・ 若い猫~シニアまで、環境温度の低下に伴って覚醒時間が伸びた
・ シニアでは、5℃と35℃という極端な温度において深い睡眠の中断回数が増えた
覚醒時間が伸びたり、睡眠中断回数が増えたりする「睡眠障害」の状態は、人間と同様に猫でも望ましくないと考えられます。
特に冬や気温が低い日は睡眠が短くなりがちですので、部屋の温度を調整して暖かくしてあげましょう。
部屋を暗くする
猫の睡眠と室内の明るさの関係を検証した研究では、以下の報告がされています。
室内の照明を変化させて睡眠の質を評価した結果、
・ 常に明るい状態では、深い睡眠の時間が減る
・ 昼間の眠気の割合が増える
猫も人間と同様に、室内が常に明るい状態ではしっかりとした睡眠をとることができないようですね。
猫と一緒の部屋で生活している方は、猫の寝床は暗い場所に設置してあげるとよいでしょう。
まとめ
今回は、猫の睡眠について、睡眠時間や睡眠サイクル、睡眠時間が短くなったときのリスク、睡眠の特徴、猫が快適に寝られる環境まで解説しました。
愛猫の睡眠の質を上げるために、本記事で紹介した内容をぜひ確認してみてくださいね。
PLUS CYCLEで睡眠を確認する
また、睡眠時間や睡眠の質を確認するには、犬猫用活動量計PLUS CYCLEが有用です。
愛猫の睡眠時間を同年齢・同品種と比較できる
愛猫の睡眠時間が、同じ猫種、同じ年齢の全国平均値と比較できるので、「よく眠れているかな?」「睡眠時間は足りているかな?」などグラフで確認できます。
1日グラフで確認できる
1日の活動量を見ることで、「夜、モゾモゾしてないかな?」など、夜間の活動から睡眠の質が確認できます。
快適な睡眠時間を目指した活動量が明確に設定できる
全国平均値との比較や、睡眠の質を見ることによって、ベストな睡眠をとるためには日中どのくらい活動すればよいか数値で目標が設定できます。
その目標値を目指して、おもちゃでの遊びなど愛猫との生活を充実させましょう!
ぜひ、PLUS CYCLEを活用して愛猫の快適な睡眠環境を整えてくださいね!
【医療監修:日本動物高度医療センター】