猫が肥満になる原因とは?予防するために知っておきたいダイエット法

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猫の肥満は多くの飼い主さんが気になる問題ではないでしょうか。
猫が肥満になると糖尿病や脂肪肝など様々な疾患を惹き起こすリスクが高まります。

適切な食事量や運動により健康的な体型を維持することが最も重要ですが、一方で、すでに肥満体型にある猫でも、食事量の制限・運動量の調整によりダイエットすることが可能です。

そこで今回は、猫が肥満になる原因とダイエット方法やその注意点について解説します。

猫の肥満に悩んでいる人は必見です。
猫の健康に注意しながら、正しいダイエット法を学びましょう。

猫の体重はどれくらいが標準?

猫の標準的な体重は、成長がとまった成猫(約1歳)で3㎏~5㎏です。
生まれてから1歳までの成長期は、体重は以下のように毎日増加します。

ただし、猫の体重は性別や種類によって異なります。
もともと身体が大きい猫は体重も重くなるので、猫の肥満は体重だけでは判断ができず、体型が大切になってきます。

猫の体型の指標として「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」というものがあります。
動物病院でもBCSを基に体型を確認し、ダイエットの必要性などを判断しています。

ボディ・コンディション・スコア(BCS)とは?

BCSとは、体型を1~5の5段階に分けてスコア化したもので、スコアが低ければ痩せ型で高ければ肥満型となります。

  • BCS1:肋骨、腰椎、骨盤が外から容易に見える。首が細く、上から見て腰が深くくびれている。横から見て腹部の吊り上がりが顕著。脇腹のひだには脂肪がないか、ひだ自体がない。
  • BCS2:背骨と肋骨が容易に触る。上から見て腰のくびれは最小。横から見て腹部の吊り上がりはわずか。
  • BCS3:肋骨は触れるが、見ることはできない。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれがわずかに見られる。横から見て腹部の吊り上がり、脇腹にひだがある。
  • BCS4:肋骨の上に脂肪がわずかに沈着するが、肋骨は容易に触れる。横から見て腹部の吊り上がりはやや丸くなり、脇腹は窪んでいる。脇腹のひだは適量の脂肪で垂れ下がり、歩くと揺れるのに気づく。
  • BCS5:肋骨や背骨は厚い脂肪におおわれて容易に触れない。横から見て腹部の吊り上がりは丸く、上から見て腰のくびれはほとんど見られない。脇腹のひだが目立ち、歩くと盛んに揺れる。

出典:環境省ホームページ 

家でチェックするときは、胸のあたりを触って肋骨がやや触れる程度(BCS3)であるか確認してみてくださいね。

猫が太る原因

猫が肥満になる主な原因として、以下の3つが挙げられます。

食べ過ぎ

キャットフードの食べ過ぎによる肥満です。

食べ過ぎてしまう最大の原因は、「うちの子はいつもこれくらいかな」と目分量でお皿へ入れることで、過剰に食べすぎてしまうことです。

身体の小さな猫にとってフードの1粒2粒は決して小さなカロリーではありません。
フードのパッケージに記載されている適切な量を確認し、計量カップなどで正確に測って与えてください。

フードを切り替えた際などは、摂取カロリーの違いにより給餌量も変わってきますので特に注意が必要です。

また、おやつやプレミアムフードなど、高カロリーな食事を継続的に与えることも、摂取カロリーが増え、太る原因となります。

運動不足

猫の飼育環境として、他の猫との接触による感染症予防や交通事故防止の観点から完全室内飼育が推奨されていますが、室内では行動範囲が限られているため運動不足になりがちです。

さらに、猫のルーツは獲物の少ない砂漠にすむリビアヤマネコと言われており、そもそも必要以上にエネルギーを消費しようとしません。

また、加齢とともに活動量が減り、ごろごろしている時間が増えるので、ますますエネルギー消費量が少なくなり、さらに代謝も落ちるため太りやすくなります。

避妊・去勢手術

避妊・去勢手術をすることでホルモンバランスの影響により太りやすい体質になります。

また、避妊手術前は生殖に関連する行動や体内における生殖活動の維持に多くのカロリーが消費されていますが、避妊・去勢手術によってこれらの活動が必要なくなり、消費カロリーが低下します。

猫の肥満リスク

猫が肥満体型になった場合、以下の様な疾患リスクが高まります。

糖尿病

肥満の猫は、糖尿病になるリスクが4倍高まると言われており、特に去勢したシニアのオスに多いとされています。

ヒトと同様に肥満になるとインシュリンの抵抗性が高まることで高血糖が続き糖尿病になり、食欲の低下・下痢や嘔吐の症状や、さらにはケトアシドーシスといった命に関わる状態に陥ることもあります。

関節炎

多くのシニアの猫が関節炎(変形性関節症)にかかっていることが報告されています。

変形性関節症を引き惹き起こす原因は幾つかありますが、肥満になることで足腰に負担がかかり、関節そのものに損傷を与えてしまうことも一因となっています。

関節炎になると、関節の痛みにより動きたくなくなり、行動制限や体力低下を招いてしまうため注意が必要です。

脂肪肝

肥満は脂肪肝(肝リピドーシス)の原因となることが報告されています。

肝リピドーシスは、肝臓が急激に脂肪を蓄積してしまい機能異常をきたし、嘔吐・下痢・黄疸を発症し、重篤化すると肝性脳症や意識障害・けいれんを惹き起こす重篤な疾患です。

肥満の猫が急に食欲不振になったら注意が必要です。

心筋症

肥満により皮下脂肪が増えると、心拍数や血圧が上がり心臓に負担がかかり、肥大型心筋症などの心臓病を悪化させる可能性があります。

肥大型心筋症が重篤化すると、うっ血性心不全にともなう肺水腫や胸水貯留といった症状を惹き起こし、治療が遅れれば死に至るため注意が必要です。

その他、肥満により便秘になりやすい、腫瘍ができやすい、麻酔が効きにくいなど様々なリスクが報告されていますので、肥満の猫は一刻も早い改善が必要です。

肥満改善!猫のダイエット法

では、猫の肥満改善にはどんな方法があるのでしょうか?
猫の適切なダイエット方法について解説します。

食事の量を見直す

ダイエットの基本は食事量の見直しです。
まず、現在の食事量が適切かどうか見直してみましょう。

成長には体重1kgあたり80カロリーが必要とされていますが、現在の体重、目指す体重、年齢、運動量などによって適切なフード量は異なります。

そのため、フード量の調節はかかりつけ病院に相談することをお勧めします。

食事の量を減らし回数を増やす

1日のフード量を1回で食べるより、複数回に分けて摂取する方がエネルギーの消費量は増えます。
1日の給餌量が決まったら、数回に分けて与えてみましょう。

また、食べ残しがある場合はすぐに片づけ、おやつなどを与えるのは極力控えるようにしてください。

ダイエットフードを与える

普通の食事をただ減らすだけでは、必要な栄養が十分に取れず栄養失調になる可能性があります。

適切な食事の量を与えているのにさらに食べ物を欲しがるようであれば、必要な栄養素が足りてない可能性があるので、ダイエットフードの利用を検討してみてください。

ダイエットフードは、低カロリーで栄養バランスに優れており、食べ物の量を同じにしても猫の健康状態を維持できます。

ダイエットフードを選ぶ際には、上質なタンパク質を利用しているもの、栄養バランスに優れたものなど色々ありますが、かかりつけ病院の先生やスタッフの方に確認することをお勧めします。

キャットタワーやキャットステップを設置する

猫の活動量を増やすことでダイエット効果・肥満予防が期待できます。
とは言っても、室内ではどうしても活動量が少なくなってしまいがちなので、キャットタワーなどを活用することで上下運動ができるようにし、思う存分運動させることが大切です。

上下運動ができ、リラックスできる高い場所にもなるため、猫にとって快適な空間となるでしょう。

キャットタワーは床置きのため、部屋が狭くなってしまうという方もいるかもしれません。
そんな場合は、壁に直接設置するキャットステップがおすすめです。

壁を傷つけず設置できるタイプのものもあり手軽に設置できますので、お部屋にあった猫空間を検討してみてください。

キャットタワー・キャットステップともに、飛び付いたり、地震で揺れたりしても倒れないように設置し、くれぐれも落下には注意してくださいね。

定期的に体重を測定する

定期的に体重を測定することで、見た目では気づきにくい体重の増減を正確に把握しダイエットの効果を確認することができます。

1歳以上の成猫では月に1回以上、1歳未満の子猫では週1回の頻度がおすすめです。

また、定期的に体重測定をすることで、急な体重の増減から疾患の早期発見につながることもありますので、定期的に体重を測定するようにしましょう。

猫のダイエットの注意点

いきなり食事量を減らしたりすると、肝疾患を惹き起こすなど問題が生じてしまいます。
ここでは、猫のダイエットにおける注意点を解説します。

フード量を減らす場合は少しずつ

フードを減らす場合は、急激に減らさないようにしましょう。

ダイエットが必要な猫が急に摂取カロリーを減らすと、体の中の脂肪が分解され急激に肝臓に蓄積される肝リピドーシス(脂肪肝)を惹き起こす恐れがあります。

フードを減らす際は、かかりつけの病院に相談して、適切な方法でダイエットを進めるようにしましょう。

キャットフードの切り替えは慎重に行う

キャットフードを切り替える際は、現在与えているフード量を徐々に減らし、新しいフードの割合を少しずつ増やしていく方法がおすすめです。

この切り替え期間は、7日~10日程度を目安にすると良いでしょう。

また、フードの切り替え中に下痢などの体調不良が生じていないか、注意深く確認しながら、徐々に切り替えていきましょう。

ストレスに注意する

人間と同様に、猫も空腹になるとイライラしたり、空腹から異物を食べてしまったりすることがあります。
そのようなときは、猫がこまめにフードを食べられるようなオモチャ使いながら、よく様子を確認してみてください。

まとめ

今回は、猫の肥満になる原因とそのリスク、猫のダイエット方法と注意点まで解説しました。
愛猫が肥満だった場合は、かかりつけ病院と相談しながら、ぜひBCS3を目指してダイエットしてみてくださいね。

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【動物医療監修:日本動物高度医療センター】

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